4月6日付・読売社説 :[黄砂]「東アジアの広域的な環境問題だ」
[黄砂]「東アジアの広域的な環境問題だ」
春の風物詩と悠長に構えてはいられない。主に中国内陸部から飛来した砂塵(さじん)が、空を黄色くかすませる黄砂のことだ。
規模や頻度が増えている。2000年から02年にかけて、国内の観測回数が、過去30年間の最大を3年連続で更新した。今年も、飛来がピークとなる4月を迎え、各地で観測が報告されている。その延べ回数は、3月末までに100回を超えた。
思わぬ被害も出ている。02年には、黄砂による視界不良のため、航空機の運航が混乱した。塵(ちり)を嫌う半導体工場で、不良品が多発したこともある。
発生源に近い中国国内、韓国では、事態はもっと深刻だ。呼吸器などへの影響で死亡率が上昇したとの報告がある。砂塵中の鉱物が肺にたまり、長期的な健康影響が出る、と懸念する声もある。
韓国では、健康被害を警戒して、黄砂の濃度次第で学校を閉鎖する。
黄砂は、東アジア地域の広域的な環境問題と考えるべきだろう。環境省の報告書によると、韓国では、「気象災害」とみなされている。健康への影響解明を含めて、日本と中国、韓国などが協力して対策に取り組む必要がある。
発生源は、タクラマカン砂漠や黄土高原などの乾燥地帯だ。風により高度数千メートルまで舞い上げられた土壌や粒子が、偏西風に乗って飛来する。
中国上空を通過する際に、様々な大気汚染物質を取り込み、日本などに降下して悪影響をもたらす可能性も指摘されている。農薬などの化合物を吸着していることもある。
黄砂の増加は、発生地帯の環境悪化が最大の原因とされている。家畜の放牧数が増えたことなどにより、草地が減り土壌が悪化した。砂漠化も進んだ。
中国政府は昨年、国内の砂漠化が、植林などの効果で1949年の建国以来初めて止まった、と発表した。ただ、すでに国土の27%は砂漠化している。対策を施した地域も安定には遠いという。北京でも、市街地付近まで砂漠が迫り、年に20〜30メートルずつ近づいている。
中国は今後も、この取り組みを進めようとしている。日本も、風下の国として技術面で協力しなくてはなるまい。モンゴルなどでも砂漠化は進んでおり、日本の貢献が必要だろう。
ただ、黄砂については、分からないことも多い。詳しい発生の仕組みや、飛来地の環境への影響などの解明を急ぐべきだ。日本の協力により、中国などで観測網の整備も進んでいる。
黄砂の実態を正確にとらえ、有効な対策を確立しなければならない。
(引用:読売新聞)
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